メタルサーガを冷静に語る

METAL SAGA ~砂塵の鎖~

もう大筋ではクリアしたと思ってもいい達成度なので冷静に見直して批評をしてみようと思います。

ゲームを初めて30秒後にはエンディングに到達出来るってのは、面白すぎてヤバイです。
これを採用したスタッフに拍手を贈りたいです。まあココで終わる人は、このゲームを買う訳が無いので実質はオマケの一部でしか無いんですが。
で、ゲームを初めて…長くて数分かな？それぐらい経てば、もう自分で自由に操作出来ます。
今時のRPGにありがちなキレイなオープニングデモやストーリーを追うイベントなど全くありません。
「取り合えず最初は近くでレベル上げと戦車拾ったら？」程度のアドバイスはありますが、基本的に自由です。
いきなり最前線の街に行ってもいいし、いきなり仲間を集めるのも良し。やらなければならない事は一切ありません。
この辺は前作メタルマックスを引き継いでて、とても良い感じです。
逆に言うと何かしらの道標が無いとヤル気が出ない、背景のある主人公や仲間がいないと感情移入出来ない、イベントムービーが無いと盛り上がらないと思う方には向いてないでしょうね。
完全に時代に逆行した作りになっています。大小、イベントはありますが殆どは仲間などに関係無いイベントです。いや、イベントと言える程のものでも無いかもしれません。
表現的にラストとなると思われるイベント(クリア後にセーブすると☆マークが表示される)さえも、素晴らしく素っ気無いです。
これを「盛り下がる」と感じるか「この程度で構わん」と感じるか「妄想で補完」出来るかでも違うでしょうね。あ、俺は「この程度で構わん」と「妄想で補完」です。
本当に賞金首と言われるボス的なモンスターと荒野と戦車を用意しました。後はお好きにどうぞ。と投げっぱなしです。

戦闘関連については、もっと捻るべきだったと思います。
後半のレベルの上がり具合は半端ないし、生身装備が異様に強いですし。
更に戦車装備に幅が無いのが何とも。一長一短という特色が全く表現出来ないです。
ラストになると全員同じエンジンにCユニット装備と激しくツマランです。
例えばバカ高い出力を持っているのに強度がボロクソなエンジンとか、そういうのが無いんですね。
車両についても武器を搭載出来る穴の用途がしょぼ過ぎます。殆どが主砲用とかに固定されてあって、埋めるか使うかの2択しか無いです。
マジ穴の意味が無い。こんなんなら最初から固定で良いですわ。
敵の状態遷移については中々面白い案だと思いましたが、これももっと捻る必要がありますね。
高高度にいる敵には攻撃が当たりにくいとかコチラに取ってのマイナス面しか無く、戦術の幅を広げるではなくて、こちらの装備を固定させる意味しか無いです。
範囲外にいる敵には攻撃が当たりにくいが敵もコチラには特定の方法でしか攻撃出来ないなどもあれば、逆に敵を範囲外に押し出して…といった戦術も使えたのではないかなー。
他に酸・機関停止などの状態異常に陥ることが殆どありませんでした。これも面白くないですね。
犬も頭が悪く、敵のステルス状態を解除する特技など全く使ってくれなかったり。

インターフェイス関連も、どうも使い辛いです。引っ掛かりがあるんですよね。
エディット機能があるお陰で目を瞑れるところもありますが、やはり気になる。
多量のアイテムの売買やジャンクの鑑定なども無駄に時間が掛かる為、ストレスが貯まります。一気に纏めて売却・鑑定する事が出来れば…。

と、ここまで短所ばかり連ねて来ましたが、それを補ってあまりある魅力が、この作品にはあります。
戦闘時間の短縮(5秒以内で終わる)や各種ミニゲーム(出来は良くないけど)、ジュークボックスでゲーム内サウンドの視聴など。
更にココだけ時代に沿ったのか各種萌え要素も入ってます。
幼馴染のツンデレ、健気な妹、巫女、気丈で色気たっぷりお姉さん、僕っ娘、メガネ白衣、お嬢様、ショタ、母親、ロボット…やり過ぎだろ！というぐらい詰まってます。
まあ何だかんだ言っても最大の魅力は「荒野」と「戦車」と「俺ハンター」なんですけどね。
この設定と何やってもいいシステムが、プレイする意欲を駆り立てるんですよね。

ゲーム内の人物が言ってました。「この荒廃した大地を見よ！この世界では、何処まで遠くに行ったか、どれだけの人と知り合ったか、それに価値がある！」
世界を知りたいと思う意欲自体が、そのままこのゲームの魅力に繋がってるのではないでしょうか？
おお、上手く纏まっ…てはないか。